取材で訪れた、荒木町の「の弥七」さん。
店構えは割烹のようですが、実は中国料理のお店です。
しかも店主は、「桃の木」出身の実力派。
中国料理を極めるうちに、日本料理の持つ、器の文化や食材の扱い方、などへの関心が高まったという店主。
安易な創作ではなく、中国料理をベースにしながら、日本料理の要素を取り入れたオリジナルの料理を提供しています。
その一例が、三段盛りで出される前菜。
一段目は、和の八寸のような旬の食材の取り合わせ。
よく見るとピータンや焼豚などが入っていて、さりげなく中華テイストも感じさせる内容。
二段目は対照的に、四川の代表料理であるよだれ鶏を定番に。
三段目には、なんとごま豆腐!
地味ですが手間がかかるゆえ、日本料理の職人でも最近は作る人が少なくなっているという料理ですが、シェフはこれを中華の手法で揚げ焼きにして、白子のようなテクスチャーに仕上げています。
白舞茸は、唐辛子の香りだけをまとわせて素材感を強調。
鯛のけんちん蒸しは、熱い油をかけて仕上げる中華のダイナミックさと、中にけんちんを詰めて蒸すという和食の繊細さを兼ね備えた1品。
いわゆる一般的な中国料理とは別次元の料理で、賛否両論あるかと思いますが…
日本人にしかできない、こういう中国料理が今後はもっと増えてくるように感じますし、私個人としては支持したいお店。
それにしても、最近の中国料理は、若手シェフの個人店が本当に面白い。
まだ来訪できていないお店もたくさんあるのですが、今後がますます楽しみだなぁ。