今日、とあるインタビューを受けていたところ、最後にこんな質問がありました。
「もし、お金とか時間とか、そういう制約を一切考えないとして、今後どういう仕事をしてみたいですか」
現実的には、世の中の人の大半が、時間かお金かのいずれかの制約で自分の夢を実現できていないと思うので、私もご多分に漏れず…なのですが、やりたいことを口にして誰かに伝えるのは夢の実現の第一歩だと思うので、私もここで呟いてみようかなという気になりました。
私はこれまで、東京近郊の様々なトップレストラン、パティシエ、ベーカリー、ラーメン屋、居酒屋、などなどあらゆる業種を個人店チェーン店問わず取材してきました。そのなかで日々感じるのは、日本の将来の食を脅かす問題が、そこかしこにひしめいているということ。
農業や酪農人口の減少に始まり、日本漁業が抱える問題、流通の問題、労働問題、添加物やアレルギーの問題…本当に多岐に渡っていて、我々がいま食べているものが、将来的に食べられなくなる未来は、本当にすぐそこにまで迫っているかもしれないのです。
私の普段の仕事は、「日本の料理文化を、本というメディアで世に伝える」というのが主な目的で、それはそれで素晴らしい仕事だと思っているのですが、取材を重ねる度に、素晴らしい料理は、食材あってこそ、ということも痛感するようになりました。そして、素晴らしい料理人さんは、皆それをきちんとわきまえてることも。
メディアに携わる人間としては、単なるトレンドや美味しいお店情報を流し続けるのではなく、もっと根本的な、食の根っこである一次産業にもっと深くコミットして仕事をしていきたい、という思いが、年々強くなってきています。それには、もっと子供のうちから、食に関心をもち、一次産業に触れることが重要なのではないかという思いも。
私一人のわずかな力で、何ができるかはわかりません。でも、何もしないでいるよりは、どんなかたちにしろ、これら問題にちゃんと目を向けて、解決のためのお手伝いがしたい。
それはもしかしたら、地元横浜の農家さんを支える取り組みであったり、地産地消の素材でつくるこども食堂の運営であったり。取材を通して文章で伝えるといういまの仕事でなくても、実現できる道はあると思うのです。
いまはまだ、今後を模索している段階ですが、一度きりの人生、大切なものを見失わないように、慎重に、時に大胆に、私にしか歩けない道を歩んでいきたいです。