最近、初めて行く店で当たりの店が非常に多くてうれしい
もちろん逆パターンもあり、とことん連続してはずれのときもあるのですが…。
下北沢の「クオーレ・フォルテ」さんも、そんな大当たりのお店のひとつ。
以前からいい噂は聞いていて、取材の後にプライベートでも行ってみました。
フードメニューは、イタリアの郷土料理を中心に20品ほど。
バルスタイルなので生ものはほぼなく、お肉や煮込みなどが中心かな。
ソーセージやポルケッタ、など自家製のおつまみが揃います。
前菜盛り合わせは、自家製大山鶏のハム、バッカラマンテカート、豚のコラーゲンテリーヌの3種盛り。
「バッカラ・マンテカート」は、塩漬けの干鱈を使ったペーストのような北イタリアの郷土料理で、現地ではポレンタと食べるのが定番。
コラーゲンテリーヌは、ローマの「コッパ・ロマーナ」が原型で、豚の耳やほほ肉などをコラーゲンでテリーヌ型に寄せたもの。バルサミコのソースがよく合います。
鶏のハムは、低温でじっくり真空調理しているのでしっとりなめらか。この作り方、実は取材で教えてもらっているのです
パンも自家製と手間暇かけてます。
この日は3種あり、フォカッチャと全粒粉の丸パンをいただきました。
そして特筆すべきは、グラスワインの充実した品揃え。
ワイン全体では100種以上、ほとんどがビオワインで、そのうち日替わりで赤・白それぞれ5種以上がグラスで飲めます。
なかにはあまりグラスではいただけないような銘柄もあって、お値打ち感が高いのが魅力。
私のようにアルコールにめっぽう弱い人間にとっては、とてもありがたいのです。
まずは洋ナシのスパークリング。
これ、危険な飲み物です(笑)。微発泡なので、ジュースのようにすいすい飲めちゃう。
続いて、「ヴァル ティドーネ ビアンコ2009」。
小さな造り手さんイル・ヴェイの作。果実味しっかりで、さわやか。
ちなみにこちらのお店は、マグナムボトルが多いのも特徴です。
マグナムボトルは大きい分空気に触れる面積が少なく、熟成に適しているんですね。
それゆえワイナリーでは、必然的に「おいしいワインはマグナムに詰める傾向がある」ということ、ですね。
お次は、フリウリ地方の造り手、「ラディコン」。
赤ワインと同じく皮ごと浸漬して造るので、ロゼのような色合いと濁りがかった色味が特徴。
白ワインなのに果実実がものすごい。まるで杏ジャムのようです。自然なミネラル感もたっぷり。
これ、おいしーなー。
お料理は「自家製ソーセージ」を。
そのつど合わせる素材が変わるそうで、これはハーブのきいたさっぱりテイスト。
お肉の歯ごたえとジューシーな肉汁たっぷりで、うま!
赤ワインをお願したオットに、「ぜひ飲んでほしい!」と出していただいたのがこれ。
「ラ・カラブレッタ シチリアIGT 2003」。
1900年創業、伝統的な造り方をしているカラブレッタ家の2003年もの。
大樽で熟成させたのちバリック樽でさらに4~5年熟成させたものだそうで、激しく旨い。
オットいわく、「旨みや香りが複雑な構成で、好みのタイプ」だそう。
日本酒でも複雑味のある旨口が好みなので、方向性が似ているのかな。
ふわもちのゼッポリ。私の好物。
〆は、魚介の白いラグーのパスタを。
やさしい味で、重たくないのがいいなぁ。
オットが最後に飲んだ?「ビアンコ・デイ・ムーニ2009」。
生産者のダ二エーレ氏の経歴はこちらのサイトに詳しいですが、土着品種の「ドゥレッラ」という葡萄を用いたワインを得意とし、2006年創業と新参ながら日本にもファンが少なくないそう。
酸が特徴のドゥレッラを完熟させ、豊かな味わいのシャルドネをブレンド。
さわやかでキレのある味わいです。
最後になりますが、このお店、居心地も満点です。
おすすめ上手なオーナーの羽賀さん、ほんわかした雰囲気のシェフの一戸さんの温かな空気感は、常連さん率の高さも納得。
昨今のワインブームは、単にワインを飲めるお店が増えただけでなく、日本人のワインリテラシーの向上にもつながっていると思う。
これまでなんとなくワインを飲んでいた人も、日常的に飲むようになれば自然と好き嫌いも出てくるし、好きな傾向もなんとなくわかってくる。
そう考えると今後は、個人店レベルでは品揃えよりも「何を飲ませたいか」というお店のポリシーがはっきり伝わってくるお店が生き残ると思います。
例えば我々が日本酒を飲むとき、冷やしか置いてない店には行かないし、信頼しているお店ならメニュー表を見ないでおすすめを注文したりすることもある。
そういうことが、ワインでも当たり前になってくるのだと思います。
ワインリテラシーに関しては私もまだまだなのですが、なるべく好きなタイプのワインをたくさん見つけて、楽しみの幅を広げられたらいいなと思います