我が家は夫婦揃って出版関係の仕事をしていることもあり、幼少期から読書好き。しかし、娘は今のところ読書があまり好きではないようで…。あの手この手で様々な本を与えていますが、まだ読書の面白さに目覚めていないみたい。
そこでふと、昔自分が小学生の頃に読んでいた全集があったなと思い出し、色々調べてみるもなかなかネットでは情報が出てこず…。画像検索やお話のタイトルを検索してようやく見つけたのが、写真の「こどもの世界文学」です(懐かしくなりメルカリで大人買い)。
実は、子供に読んでほしい本を書店で探すも、なかなかこれという本が見つからない、と個人的にずっと思っていて。「○歳までに読みたい名作」といったシリーズは、原作がかなり省略されていて面白さが伝わらない部分も多いし、何よりアニメタッチのイラストが好みではなく…。
子供向けの全集を調べてみても、出版社が違ってもだいたい選ばれているお話は同じ。子供が面白い、と思う本はその子それぞれ(冒険ものが好きな子もいれば、お姫様系が好きな子もいる)ので、もっと個性を持たせればいいのになーと思ったり。
この「こどもの世界文学」は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ソビエト(←昭和47年発行)と、日本、その他諸国の代表的な作家さんのお話が集められています。アンデルセンや宮沢賢治といった一部の有名な作家さん以外は、書店でもあまり見かけないお話も多い。例えば、「しあわせの王子」は知っていても、その作者がイギリスのオスカーワイルドという人で、同じ作者の「ナイチンゲールとバラ」や「わがままな大男」というお話はたぶん知られていないように。
この全集はあとがきも充実していて、作家さんの生い立ちや、生まれ育った国や地域についての紹介もされています。今のようにインターネット一つで国境を越えられる時代とは違い、昔の自分はここを読んで、世界のいろいろな国や地域についての想像を膨らませたものでした。
それから、背表紙を見ていただくとわかるのですが、この全集は一冊ごとに挿絵を描いている作家さんが異なり、それも子供心にとても印象が強かった記憶があります。この本の絵はあまり好きじゃないなとか、ちょっと怖いタッチの絵もあったりして、お話とイラストを一緒に楽しんでいました。大人になり、改めて見てみると、その当時活躍していた作家さんを起用していたようで、あとがきには作家さんの名前や経歴も記されていました。
現代の子供向けの本も、今活躍しているアーティストを起用したり、有名ではないけれど面白いお話を集めたりしたほうが、子供の感性は広がるのではないかな〜と感じています。反面、この全集の厚みと重さは、現代向きではないことも事実なので(厚い本を読み切ったという充実感も読書には大切なのですが)、そこはコンパクトにするなり現代にフィットさせる形にして。
同じ本を読んでも、子供の頃のような想像力では読めなくて、だからこそ子供の頃の読書体験ってとても大切だと思うのです。そして、昔よりも情報が溢れている中で、良書に導いてあげるのも大人の役目。
今のところ、娘にはあまりハマっていないようですが…。私が懐かしくてまた読み返しています。当時も、面白くて繰り返し読んだ巻と、最後まで読みきらなかった巻があって、私は娘もそれでいいと思っています(ちなみに私は、ふしぎなふしぎな時計、かしこすぎる王子プリジオ、長靴をはいた猫のペロー全集が大好きでした)。
娘も、1冊でも繰り返し読みたくなるような作品に出合えることを祈っています。